友人である訪問介護士の男性から、「女性のヘルパーさんをお願いします。と、利用者に希望されてしまう」という悩みを聞いた。その理由というのが、何とも切ない。「介護のような細やかな気配りが必要な仕事は、女性の方が向いているでしょう」と、男性というだけでお断りされるというのだ。ちなみに、彼は明朗快活で気立ての良い人間だ。面倒見も良いし、料理の腕も申し分ない。もちろん、周りへの気配りもできる。それでも、利用者やその家族からは顔を合わせる事なく「女性のヘルパーさんをお願いします」と言われてしまう現状。男性も育児に積極的に参加している昨今、さすがに「男子厨房に入らず」という言葉は過去のものになったと思っていた。なので、未だにそのような風潮があるとは信じ難いが、実際に目の前の彼は悩んでいる。
「介護は元々希望していた仕事だし、利用者さまにありがとうと言われると心の底から嬉しい。自分は訪問介護の仕事に誇りを持っているし、やりがいも感じている。ただ、男性だからという理由で働く機会を得られないということが度々起こってしまうと、訪問介護の仕事を続けて良いものか不安を感じる」と、彼はため息混じりに吐き出していた。
どうか皆様、「男性介護士は~」と一括りして色眼鏡で見るようなことはしないで欲しい。訪問介護士個々の人となりや仕事ぶりをきちんと見て、その上で語って欲しい。やる気のある男性介護士が働きやすい世の中になって欲しいと、強く思う。