先日、友人である20代の男性介護士と酒を酌み交わす機会があった。彼の職業は「訪問介護士(ホームヘルパー)」。現在は介護を必要としている高齢者の自宅へ訪問し、身体介助や生活支援を行っている。介護士の活躍の場としては、他に特別養護老人ホームや身体障害者施設といった社会福祉施設が思い浮かぶ。多数の利用者に対してケアを行う施設介護と比べて、訪問介護は利用者一人一人に合ったケアができるという利点がある。
さて、「身内の介護に携わったことから、介護の仕事に興味を持った」というこちらの男性。彼も、以前は高齢者向けの福祉施設で勤務していたが、ルーティンワークになりがちな対多数の介護ではなく、もっと個人と向き合いたいと転職を決意。そして、訪問介護の仕事を選んだという。転職したことは数ヶ月前に聞いていたため、近況報告というとやはり新しい職場の話がメインだ。「訪問介護の仕事はどうですか?」と私が軽く尋ねると、「いや、それがですね・・・」とどうにも覇気のない返事の後、彼はぽつりぽつりとつぶやきはじめた。彼の話を要約すると、「介護に男性はお呼びでない」という愚痴。どうやら、男性介護士の肩身の狭さに悩んでいるらしい。
最初に「女性のヘルパーさんをお願いしますと希望されることが多くて・・・」という言葉から始まったので、私は内心「なるほど」と納得してしまった。介護には、入浴介助や排泄介助など、利用者の羞恥心に関わるデリケートな業務も多い。そのため、女性の利用者から同性介護希望という意味合いで断られてしまうのだろう。と勝手に解釈していたのだが、
実際のところは「男性介護士は細やかな気配りができない」という理由で断られてしまうらしい。
《こちらのサイトにも、訪問介護士の体験談が書かれています。→ 訪問介護士の憂鬱》